Morrolinux:レゴから始まったLinuxの道

Morrolinux: From LEGO to Linux

Linuxの優れた歩みを称えて──Moreno “Morrolinux” Razzoli氏との対談

LPI25周年を記念するシリーズの一環として、Linuxやオープンソースコミュニティから生まれた、心を動かすストーリーをご紹介しています。今回は、情熱的なLinux愛好家であり、教育活動にも力を注いでいるMoreno Razzoli氏──通称「Morrolinux」──にお話を伺いました。Linuxとの出会いから、LPIのプラチナトレーニングパートナーとなるまでの歩み、そしてオープンソースの未来について語っていただきました。

Q:LPIが誕生した25年前、あなたは何をしていましたか?

(「Linux以前/以後」あるいは「Linux年齢」的な表現の方がしっくりくるなら、LPIの設立は1999年10月15日、Linuxカーネル2.2.13がリリースされたタイミングで、主な新機能はIBMのS/390対応でした。)

Moreno:25年前、私はまだ6歳で、レゴブロックで初めての作品を作っていました。説明書もなく、決まりもない──ただ、思いついたものを自由に組み立てていたんです。今思えば、それってオープンソースソフトウェアに似ていると思いませんか?どちらも創造力と忍耐が必要で、ゼロから何かを築き上げていく楽しさがあります。そんな遊びが、まさか将来Linuxに携わる準備になっていたとは思いもしませんでした。

Q:Linuxに初めて触れたのは何歳のときですか?

Moreno:14歳のとき、ある技術系の雑誌に付いていた「Ubuntu 8.04」のCDに出会ったのが始まりでした。今振り返ると、ちょうどLinuxカーネル2.6.24の時代ですね。cgroups(コントロールグループ)の最初の実装が入った頃です。

好奇心からインストールしてみたのですが、最初は全然分かりませんでした。それでもどんどん夢中になっていって、最終的にはWindowsのパーティションをフォーマットして、完全にLinuxへ移行したんです。何時間もかけて設定を試し、たびたびシステムを壊しては再インストールしていました(笑)。でもこの経験から、忍耐力や問題解決力、そして何よりもオープンソースへの深い愛を学びました。

Q:それ以来、素晴らしいキャリアを築いてこられましたね。LPIはあなたの成長にどのように関わってきましたか?

MorenoLPIC-1認定は、私の人生を変えたと言っても過言ではありません。それまで私は独学で、試行錯誤しながらLinuxを学んできました。でもこの認定を通じて、自分の知識を体系的に整理し、より深くLinuxを理解することができました。そして、それを実際の現場で活かせるようになったのです。

今ではLPI認定トレーナーとして、またプラチナトレーニングパートナーとして、その知識を他の人たちに伝える立場になりました。LPIのおかげでキャリアの道が拓けただけでなく、多くの人たちにオープンソースの道を示すことができています。

Q:長年Linuxコミュニティに携わってこられましたが、その変化をどのように見ていますか?そしてご自身の役割は?

Moreno:私が最初にUbuntuをインストールした頃と比べると、本当に大きく進化しました。あの頃は、マイクの設定一つでも大変な作業だったんですよ。でも今は、ずっとユーザーフレンドリーになり、選択肢も豊富になりました。

私の役割は一貫して「Linuxを誰でも使えるようにすること」です。YouTubeチャンネルや講座を通じて、複雑なテーマを分かりやすく説明し、Linuxが現実の問題をどう解決できるのかを伝えています。また、オープンソースにまつわる誤解も解いてきました。

一番嬉しかったのは、視聴者の方から「あなたの講座のおかげで、IT業界で夢だった職に就けました」と言われたときです。あの瞬間の喜びは、今も忘れられません。

Q:教育にも情熱を注いでいますね。Linux初心者にアドバイスをお願いします。

Moreno:まずは「小さく始める」ことです。Linuxは最初こそ難しく感じますが、一歩ずつ学んでいけば大丈夫です。コマンドラインの操作、ファイルシステムの理解、簡単なスクリプトの作成──このあたりの基礎を丁寧に習得することが大切です。

それから、質問することを恐れないでください。Linuxのコミュニティはとても親切で、支え合いの文化があります。本気でIT業界でのキャリアを考えているなら、LPIの認定取得も強くおすすめします。基礎をしっかり固められますし、企業にも自分のスキルをアピールできますよ。

Q:今後5年、あるいは25年という長期で見たとき、Linuxやオープンソースはどうなっていると思いますか?

Moreno:今後5年で言えば、Linuxはクラウド、AI、IoTといった分野でますます重要になるでしょう。オープンソースの柔軟性とセキュリティの高さは、これらの革新技術の基盤となるからです。

25年後は…さすがに予想が難しいですね(笑)。でも、今以上にLinuxが私たちの生活に溶け込んでいることは確かだと思います。だって、オープンソースの技術で火星にヘリコプターを飛ばす時代ですよ?将来、今では想像もできないようなテクノロジーをLinuxが支えているはずです。

私自身はこれからも、学び続け、教え続け、オープンソースコミュニティに貢献していきます。大切なのは、ゴールではなく「どう進んでいくか」。そしてそれを、仲間と一緒に歩むことです。

About Max Roveri:

Massimiliano "Max" Roveri is a writer, blogger, editor and social media manager. He started writing on the internet in the late '90s and he went back to the digital media in 2009. Since 2014 he lives in Ireland and, since 2015, he has been part of the LPI Italy team. He is professionally involved in cultural mediation projects, with an event management side, and in education projects as a professional and as a volunteer as well.  With a background in humanities and philosophy, he loves to address the ethical and social aspects of Open Source, with an approach that nods to Gregory Bateson and Robert M. Pirsig. Photo: uphostudio

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