Ricardoの歩みとLPIの成長:オープンソース25年の軌跡

Ricardo’s Journey and LPI's Growth: 25 Years of Open Source

好奇心と情熱が切り拓いたオープンソースの道:Ricardoの25年

ITプロフェッショナルであり、LPI(Linux Professional Institute)コミュニティのメンバーでもあるRicardo氏は、自身の学生時代からオープンソースの提唱者となるまでの道のりを振り返り、今後25年の展望を語ります。


25年前、あなたはどこにいましたか?

1999年当時、私はまだ学生で、両親と暮らしながらITを学ぶために大学進学の準備をしていました。その頃には、すでにブラジル・サンパウロ州の小さな町にあるコンピュータスクールのあらゆるコースを受講していました。MS-DOS、Windows 95/98、Dreamweaver、Corel Draw、Visual Basic、Delphiなどを学び、アシスタント講師としても働いていました。しかし、GNU/Linuxやフリーソフトウェアにはまだ出会っていませんでした。


Linuxに初めて触れたのは何歳の時ですか?

2000年、18歳でUnicamp(カンピーナス州立大学)に入学しました。新しい街での大学生活は私にとって大きな変化でした。大学の奨学金を得て、学内のラボで働きながらFreeBSDに触れる機会を得ました。黒い端末画面がとても魅力的に映りました。最初は何もわかりませんでしたが、スタッフが行う管理作業を注意深く観察していました。

ある日、ラボのWebサーバー(Microsoft IIS使用)が何度もハッキングされていました。おそらく学生によるものです。私はFreeBSDに関する資料の束を手渡され、「Apache HTTPDとFreeBSDでサーバーを作り直してほしい」と依頼されました。これが私にとって本格的なオープンソースとの出会いでした。必死に勉強と実験を繰り返し、大学の新しいWebサーバーを完成させました。

その次のプロジェクトは、ドットインパクトプリンタ3台を制御する印刷サーバーの構築でした。CUPSの設定方法を学び、複数のパラレルポートに対応するようカーネルをコンパイルし、無事にシステムを稼働させました。2002年、20歳の私はLinuxとFreeBSDに十分な自信を持ち、サーバー管理のインターンを始めました。これが私の本格的なキャリアのスタートでした。


Linuxを始めたきっかけと、それがキャリアに与えた影響は?

大学でLinuxに出会った経験は、「好奇心」と「粘り強さ」の大切さを教えてくれました。疑問を持ち、理解しようとし、実験を恐れずに挑戦する――そうした姿勢が、私の成長を支えてくれました。そして今では、他者を助け、教えることが私の中心的な活動になっています。知識を共有し、人を導き、コミュニティを育む。それが私のライフワークです。


この25年間で印象に残っているオープンソースの変化は?

私にとって最大の転機は「仮想化技術の普及」でした。これにより、IT環境はコスト効率と運用効率が劇的に向上しました。その後、クラウドコンピューティングやコンテナ技術が登場し、さらに進化を加速させました。自動化やDevOpsツールもこの流れを後押ししています。

こうしたすべての基盤にLinuxとオープンソースが存在しています。これらの技術を理解していることは、私を含め多くのプロフェッショナルにとって大きな強みになっています。今までの歩みを振り返ると同時に、これからの可能性に胸が高鳴ります。


Linuxを始めたばかりの人へのアドバイスは?

Linuxを始めることは簡単ではありません。コマンドラインに慣れること、数多くのツールを使いこなすこと、そして競争の激しいIT業界に飛び込むこと――いずれも困難を伴います。だからこそ、まずは「基礎をしっかり築く」ことが大切です。Linuxの仕組みを理解し、他の技術との連携方法を学ぶことが、将来的に大きな武器になります。

また、英語が母語でない場合は、今すぐ英語力を磨くことをおすすめします。簡単ではありませんが、英語を習得することで世界中のチャンスが広がります。そして、認定資格を積極的に活用しましょう。それらは単なる勉強ガイドではなく、自分のスキルと価値を市場に示す強力なツールなのです。


これから5年後、25年後のLinuxはどうなっていると思いますか?

Linuxとオープンソースは、これまでもITインフラの中核であり続けてきましたし、これからもその役割は変わらないと信じています。エリック・レイモンド氏が『伽藍とバザール』で語った言葉がすべてを物語っています:

「クローズドソースの世界は、オープンソースのコミュニティに進化の競争で勝つことはできない。」

このビジョンを実現し続けるためには、オープンソースコミュニティが今後も活発に活動し、油断せず価値観を守り続けることが重要です。技術革新だけでなく、過去25年間を支えてきた理念を大切にしなければなりません。それができれば、Linuxはこれから先も何十年も、テクノロジーの中心であり続けるでしょう。


今後5年から25年の間に、LPIが果たすべき役割とは?

技術は日々進化しています。LPIはその変化に対応し、認定資格や取り組みを常に市場ニーズに適応させ続ける必要があります。学生、専門家、大学、企業といったコミュニティとの強い連携を維持することが重要です。プロフェッショナルの成長を支援し、プログラムを時代に合ったものにすることで、LPIは今後もオープンソースの未来を支える重要な存在であり続けるでしょう。


Ricardo氏の物語は、「好奇心」「努力」「コミュニティ」がキャリアを切り拓き、イノベーションを生み出す力になることを教えてくれます。LPIの25周年を祝う今、彼のようなストーリーは、Linuxとオープンソースがここまで発展してきた背景にある「共に歩む旅」を思い出させてくれるとともに、これからの可能性を感じさせてくれます。

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About Max Roveri:

Massimiliano "Max" Roveri is a writer, blogger, editor and social media manager. He started writing on the internet in the late '90s and he went back to the digital media in 2009. Since 2014 he lives in Ireland and, since 2015, he has been part of the LPI Italy team. He is professionally involved in cultural mediation projects, with an event management side, and in education projects as a professional and as a volunteer as well.  With a background in humanities and philosophy, he loves to address the ethical and social aspects of Open Source, with an approach that nods to Gregory Bateson and Robert M. Pirsig. Photo: uphostudio

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