このストーリーは、オープンソースがどのように人々に力を与え、問題解決力を育み、新たなチャンスを切り開くのかを示す好例です。
私は最初からLinuxの専門家だったわけではありません。Linuxとの出会いは、大学で通信・ネットワーク工学を学んでいたときでした。当時は数あるツールの一つで、興味深いものではあったものの、将来のキャリアにおいて特別な意味を持つとは思っていませんでした。
しかし、2011年にIT業界へ足を踏み入れたことで、その考えは一変しました。
Linuxは単なるOSではなく、サーバーの基盤となり、ネットワークを守り、複雑な業務を自動化するなど、あらゆるところで活躍していました。その効率性、柔軟性、そしてオープンソース技術の持つ力に、私は次第に引き込まれていきました。ただ、当初はまだ表面的な知識にとどまっていたのです。
私が本気でLinuxを学ぼうと決意したきっかけは、思いがけず訪れたCOVID-19パンデミックでした。時間に余裕ができた私は、「もう中途半端な学習はやめよう」と腹をくくりました。
そこで活用したのが、Linux Professional Institute(LPI)による認定資格です。体系的なカリキュラムを通じて、基礎から応用まで確実に知識を身につけることができました。
自宅にラボ環境を構築し、本を読み漁り、オンラインリソースを活用し、何よりも実践を重ねました。学べば学ぶほど、Linuxに魅了されていったのです。Linuxは単なるOSではなく、「力を倍増させるツール」でした。タスクを自動化し、ワークフローを最適化し、より速く問題を解決できる強力な手段だったのです。
転機となったのは、パンデミック中にサイバーセキュリティ企業へ転職したときでした。そこでは、学んできたLinuxスキルを本格的に活用する絶好のチャンスがありました。
日々の業務の中で、多くの作業が単調で非効率的だと気づき、Linuxによる自動化を進めることにしました。
特に成果が大きかったのは、ファイアウォールの管理業務です。使っていたファイアウォールにはシェルスクリプトと連携できるAPIが備わっていたため、日常業務の約90%を自動化することに成功しました。中には、1回あたり36秒かかっていた処理が、わずか0.41秒で完了するようになったものもあります。これは約88倍のスピードアップです!
また、ベンダー提供のソフトウェアには存在しなかった「スケジュール機能」をLinuxのcronを使って独自に開発。これにより、ファイアウォールの変更を非同期で予約・実行できるようになり、ミスが減り、生産性も大きく向上しました。
さらに、トラブルシューティングの場面でもLinuxの知識は大いに役立ちました。多くの企業向けセキュリティ製品はLinuxベースで動作しており、その仕組みを深く理解していたおかげで、問題解決までの時間を大幅に短縮できました。時間が勝負の現場では、これは非常に大きな武器です。
現在、私はJPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)で、ブラジル拠点の運用を支援する仕事に就いています。ここでもLinuxは不可欠な存在です。主に以下の分野で活用しています:
スクリプト作成と自動化:手作業を減らし、業務の効率化とミスの削減を実現
可観測性とモニタリング:システム性能の分析、ダッシュボード作成、アラート設定による障害の早期発見
インフラ最適化:システムの信頼性を高め、金融サービスが円滑に稼働するよう支援
障害を未然に防ぎ、業務の効率を高め、イノベーションを推進するために、Linuxは私の仕事の中核を担っています。
私の継続的な成長は、取得した認定資格にも表れています:
LPIC-1(Linux管理者)
LPIC-2(Linuxエンジニア)
Linux Foundation Certified SysAdmin(LFCS)
Certified Kubernetes Application Developer(CKAD)
これらの資格は、自分のスキルを客観的に証明するだけでなく、より高度な課題にも取り組める自信と能力を与えてくれました。現在はLPIC-3(エンタープライズ向けLinuxの上級資格)に向けて勉強中です。
振り返ってみると、Linuxに投資し、LPI認定資格を取得したことは、人生における最良の決断の一つだったと確信しています。
技術スキルを磨くだけでなく、キャリアの選択肢を広げ、自分の専門分野に実質的な影響を与える力を与えてくれました。
そして、Linuxを通じて得た最大の教訓は、「学び続けることこそが最大の投資である」ということです。
オープンソースの世界は日々進化しています。これからも自分自身を成長させ、貢献し、そして他の人にもその価値を伝えていきたいと強く思っています。
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