みんながあなたについて知っていること:小売業者

What Everybody Knows About You: Retailers

本記事は、現代のデータ収集について扱う連載の一部です。これまでの記事では、ロボット掃除機や腕時計、ウェブブラウザなど、さまざまなデバイスを取り上げてきました。今回は、そうしたデータが最終的にどこへ集まっていくのかを見ていきます。

本記事は、この連載の中でも特に内容が広範かつ複雑です。あなたの家の近所にある小さな商店ではないかもしれませんが、チェーン店や大規模な小売業者は、まさに「飽くなき」情報収集者です。

小売業者の最大の関心は、あなたの喉元をつかんで無理やり商品を買わせることではありません。むしろ、収集されたデータの多くは、仕入れ、マーケティング、棚割りなどの企業運営において、集計データとして活用されます。つまり、冬にティッシュが品切れになるのを防いだり、酢が油の隣にきちんと並んでいるようにしたりするために使われるのです。

小売業におけるデータ収集の基本を理解するには、「小売マーケターが顧客について知っておくべき指標」に関する記事が参考になります。また、データサイエンス企業Tredenceのサイトでは、小売顧客分析とその活用方法について説明されています。

実は、顧客追跡には長い歴史があります。デジタル時代に始まったわけではありません。ある歴史的調査によれば、データ収集が本格化したのは1980年代、店舗にバーコードスキャナーが導入されてからだとされています。

2000年代に入ると、データは複数の「チャネル」から収集されるようになりました。顧客の好みを把握するための消費者アンケートは以前から活用されてきましたが、現在ではさらに、居住地、店舗までの移動時間、購入のタイミングや頻度、支払い方法(クレジットカードなど)、セールへの反応といった情報も加えられています。最近では、オンライン投稿内容を確認する「ソーシャルデータ」も取り入れられています。

別の記事では、小売顧客データを「4つの基本的な種類」に分類しています。すなわち、本人確認情報(アイデンティティデータ)、購入に関する記述データ、本人確認情報と購入データを結びつけて「行動を反映したより深いパターン」を導き出す行動データ、そして顧客のフィードバックから得られる「顧客が何を考えているか」を示す定性データです。

今日のように金融情報や個人情報を含む広範なデータ収集が拡大してきた経緯は、マッケンジー・ファンク著『The Hank Show: How a House-Painting, Drug-Running DEA Informant Built the Machine That Rules Our Lives』に詳しく描かれています。本書は、現在の米国で小売業者、銀行、政府が利用しているデータ基盤を築いたハンク・アッシャーの伝記であり、読み物として面白いだけでなく、示唆にも富んだ内容です。LexisNexisも彼の遺産の一部です。

店舗内では、Bluetooth接続やカメラによって、あなたが何を見ているのかまで把握される場合があります。(もちろん、カメラはスタッフ保護や万引き防止の目的でも設置されています。)より広い視点からの別の記事では、ブラウザの利用(本連載の後半で扱います)や、店舗内での位置情報や視線追跡技術の活用についても触れられています。

こうしたデータのさまざまな活用方法については、別の記事で一覧化されています。

私たち夫婦は最近引っ越しましたが、最初のホーム用品カタログが届くまでに3週間半しかかかりませんでした。もちろん、オンラインでいくつか注文もしましたし、住所情報はあっという間に広まります。

では、小売業者はどれほどあなたのことを詳しく知ることができるのでしょうか。その一例が、行き過ぎた行為により罰金を科された企業の事例です。

「情報コミッショナー事務局(ICO)は、カタログ小売業者Easylife Limited(以下『Easylife』)が、顧客の同意なしに145,400人について推定される健康状態をプロファイリングしていたと認定しました。これは、Easylifeのヘルスカタログで購入された特定の『トリガー商品』に基づくものでした。たとえば、顧客が瓶のふた開け器や食事用トレイを購入すると、Easylifeはその顧客が関節炎である可能性があると推測し、グルコサミン配合の関節パッチを販売するために電話をかけていました。」

このEasylifeの事例は裁判で事実認定されています。一方、有名な「Targetのおむつ事件」については、一部の研究者がその正確性に疑問を呈しています。

次回の記事では、金融機関に話題を移します。

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Author

  • Andrew Oram

    Andy is a writer and editor in the computer field. His editorial projects at O'Reilly Media ranged from a legal guide covering intellectual property to a graphic novel about teenage hackers. Andy also writes often on health IT, on policy issues related to the Internet, and on trends affecting technical innovation and its effects on society. Print publications where his work has appeared include The Economist, Communications of the ACM, Copyright World, the Journal of Information Technology & Politics, Vanguardia Dossier, and Internet Law and Business. Conferences where he has presented talks include O'Reilly's Open Source Convention, FISL (Brazil), FOSDEM (Brussels), DebConf, and LibrePlanet. Andy participates in the Association for Computing Machinery's policy organization, USTPC.

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