私がLPI理事に参加した理由 ― Henrietta Dombrovskaya

Why I Joined the LPI Board of Directors - Henrietta Dombrovskaya

データベース管理の仕事が私をPostgreSQLへ導き、PostgreSQLがオープンソース普及活動へ、そしてこの1年で、そのオープンソース活動が私をLinux Professional Institute(LPI)の理事会へと導きました。この記事では、その歩みを振り返るとともに、LPI理事として活動する意義について紹介します。

私のキャリアは、データベース管理者(DBA)およびデータベース開発者として始まり、その後、データベース部門副ディレクターやデータ分析部門ディレクターなどを歴任してきました。現在は、グローバルなトレーディング企業であるDRW Holdingsで、PostgreSQLを専門とするデータベースアーキテクトを務めています。言ってみれば、通常の200%の労力を必要とする仕事をこなしながら、さらに別の200%をPostgreSQLとオープンソースへの貢献と普及活動に注いでいるようなものです。

私はPostgreSQLの開発にも貢献しており、『PostgreSQL Query Optimization: The Ultimate Guide to Building Efficient Queries』という書籍の共同執筆も行いました。また、私が共同設立・運営しているPrairie Postgresの支援を受けたIllinois Prairie PostgreSQL User Groupで、毎月ミートアップを主催しています。さらに、カンファレンスの運営にも携わっており、特にシカゴで開催予定の「PG Data Conference 2026」がその代表例です。

PG Data Conference 2026

LPIは、私の職業上およびボランティアとしての活動を評価し、理事会への参加を打診してくれました。私は、世界規模で展開する認定団体がどのように運営されているかを学ぶことは、PostgreSQLコミュニティにとっても大きな価値があると考えました。というのも、PostgreSQLコミュニティ自身も、認定制度の提供に向けた取り組みを進めているからです。

長年にわたり、PostgreSQLの開発者たちは、AI向けベクトルデータ型を含む最新のデータベース技術動向に歩調を合わせてきました。その成功により、PostgreSQLは外部からも注目される存在となり、「模範とすべきデータベース」と見なされるようになっています。

その結果、PostgreSQL開発者たちは、他のデータベース製品(多くはクラウドサービスとして提供されているもの)について、「PostgreSQL互換」と認めてほしいという依頼を日常的に受けるようになりました。コミュニティは、ブランド価値の希薄化を防ぎ、ユーザーや開発者の体験を向上させるためにも、「PostgreSQL互換」とは何を意味するのかを標準化する必要があると認識しています。

そのため、PostgreSQLプロジェクトでは、「PostgreSQLとは何か」を厳密に定義し、オープンソースのテストを活用したコミュニティ認定の互換性プログラムを構築する必要があります。LPIは、テストや認定制度について学ぶ場として非常に適した存在です。

私がLPIに関わるもう一つの理由は、人材育成への強い思いです。私は長年にわたり、特にPostgreSQLを中心として、フリー/オープンソースソフトウェアを広めるために教育機関へ働きかけてきました。

コンピュータサイエンスの教育課程では、データベースそのものが軽視されるか、あるいはソフトウェアベンダーが教育向け割引価格で提供する proprietary(独自仕様)のデータベースが教えられることが少なくありません。これに対して、私は『PostgreSQL Query Optimization』の序文で次のように書きました。

「PostgreSQLは学術環境で誕生し、現在もオープンソースプロジェクトとして維持されている。そのため、リレーショナル理論の教育やデータベース内部構造の学習に理想的なデータベースである。」

だからこそ、私はフリーソフトウェアに対する古くからの偏見を乗り越え、PostgreSQLを学校や大学における標準的なデータベースにしたいと考えています。今年のSCALEカンファレンスでは、「PostgreSQL and Academia: Establishing Partnership」というテーマで講演も行いました。LPIがトレーニング機関や大学と幅広いパートナーシップを築いていることは、この目標を推進するうえで非常に有益です。

最後に、私はLPI理事会での活動を、自分が選んだソフトウェアプロジェクトの普及活動をさらに発展させるものだと考えています。LPIは、世界中のパートナーやネットワークを通じて、フリー/オープンソースソフトウェアの利用と普及を広げるためのグローバルな場を、理事会メンバーに提供してくれています。

LPIメンバーで、理事会への応募を希望される方は、こちらをご覧ください

Author

  • Henrietta Dombrovskaya

    Hettie Dombrovskaya is a database researcher and practitioner with over 40 years of experience. While database have always being her passion, her encounter with PostgreSQL in 2011 opened a new page in her career. Having discovered the power and the driving force of Free and Open Source Software, she gradually transitioned from a user to an active supporter of FOSS, as an advocate, a donor and an educator.

    At present, Hettie is a Database Architect at DRW Holdings in Chicago Il, responsible for everything Postgres-related in her organization. She is a Postgres Contributor, an organizer of the Chicago PostgreSQL Uset Group and one of the organizers of PG Day Chicago. She is a founder of Prairie Postgres NFP, a not-for-profit dedicated to Postgres education in the Midwest states of the USA, and a Communications Chair of the ACM Chicago Chapter.

    You can often see Hettie presenting at different Open Source conferences and/or teaching database performance classes. Her book “PostgreSQL Query Optimization” summarizes her journey from proprietary systems to PostgreSQL.

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