
私はデニス・ロドリゲス。ブラジルで妻のプリシラと息子のラファエルと一緒に暮らしています。
現在、私はラテンアメリカ最大の銀行であるイタウ銀行(Banco Itaú)でスタッフ・プラス・エンジニアとして働いています。仕事では複雑なシステム、最先端の技術、そして若手エンジニアの指導に携わっています。
肩書きだけ見ればまさに「夢の仕事」です。実際、そう感じています。
しかし、ほんの数年前までは、こんな未来が自分に訪れるとはまったく思ってもいませんでした。
それ以前の私は、低賃金の仕事を転々としながら、どうやって前に進めばいいのか分からずにいました。
裕福な家庭に生まれたわけでもなく、人脈があったわけでもありません。
ただ一つあったのは「好奇心」と、「学び続けて諦めなければ、何かが変わるかもしれない」という小さな希望だけでした。
転機は、義母のひと言から始まりました。
「大学に入学してみたら?」
当時は恋人だったプリシラが全面的に背中を押してくれました。
そして私は、サンパウロ大学(USP)の数学・統計学研究所に入学しました。
未知の世界への一歩でしたが、そこには私を励ましてくれる仲間と、可能性を信じてくれる先生たちがいました。
ジョン・“マッドドッグ”・ホール氏と私
C言語に出会ったとき、何かが「カチッ」とはまりました。
多くの人にとってはただの必修科目だったかもしれませんが、私にはまるで新しい世界が開けたように思えたのです。
ありとあらゆる概念、構造、論理を深く(本当に深く!!!)掘り下げ、夜通し勉強し、ノートを埋め尽くしました。
そして、デニス・リッチー、リーナス・トーバルズ、エドスガー・ダイクストラ、アラン・チューリングといった伝説的な人物たちの知識を貪るように吸収しました。
この情熱が、やがて私をオープンソースの世界へ導きました。
学べば学ぶほど、コードの背後にある「共有」「自由」「アクセス」という深い価値観を理解するようになったのです。
私はイベントを企画し、世界的に有名な開発者たちに直接連絡を取りました。驚いたことに、多くの人が応えてくれました。
その過程で知ったのが、ダグラス・コンラッド氏とOpenSチームが主催する「Open Beach」というイベントでした。そこにはジョン・“マッドドッグ”・ホール氏も参加すると聞きました。
旅費を工面する余裕はありませんでしたが、私はローンを組んで参加する決断をしました。
リスクは大きかったものの、プリシラはそんな私を支えてくれました。
Open Beachでは、知識を惜しみなく共有する、謙虚で寛大な人たちと出会いました。
そして、ついにマッドドッグ本人とも対面したのです。
彼は私のアイデアに耳を傾け、励ましてくれました。
その一度の会話が、私の中の何かを大きく変えました。
「彼のような人が自分の話を聞いてくれるのなら、きっと世界も聞いてくれるはずだ」――そう思えた瞬間でした。
帰宅後、私は決意を新たにしました。
大学院進学、資格取得、そして数々の採用拒否――長い年月がかかりましたが、ついにLinuxシステム管理者の職を得ることができました。
そこから、少しずつ新しい扉が開いていったのです。
今の私は、安定した生活と、自分の声を届ける場、そして明確な使命を持っています。
リーダーとして導き、メンターとして支え、スピーカーとして語り、エンジニアとして築き上げる――。
そして何より、どんなに前に進んでも「自分がどこから来たのか」を決して忘れません。
オープンソースは、私の人生を変えました。
今度は私が、その変化を次の世代に伝えていく番です。
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