LPI、国連で世界のFOSSエコシステムの発展を支援

LPI at the UN: Enabling FOSS Ecosystems Globally

UN Tech Over Hackathonが国連オープンソースウィーク2026の幕開けを飾る

2026年の国連オープンソースウィーク(UN Open Source Week 2026)のオープニングイベントである「UN Tech Over Hackathon」が、6月22日に米国ニューヨークの国連本部で閉幕しました。Linux Professional Institute(LPI)は、ハッカソンの共同主催者およびスポンサーの一員として参加しました。これは、2023年に始まり、2025年にLPIが「国連オープンソース原則(UN Open Source Principles)」への支持を表明したことで正式な協力関係となった、国連との連携を継続する取り組みです。

4日間・4会場・1つの目標

このハッカソンには、開発者、技術者、学生、イノベーターが集まり、国連機関が提示した実際の課題に対する実用的なオープンソースソリューションの開発に取り組みました。

参加チームは、6月19日にAmazon Web Servicesで開催された対面イベントでアイデア創出からプロトタイプ開発を開始しました。その後、6月20日はUNICEF Houseでメンタリングと共同作業を実施し、6月21日はリモートで共同開発を行い、6月22日に国連本部のECOSOC会議場で最終プレゼンテーションを行いました。

2つの課題、1つの目的

参加者は、現在オープンソースとAIをめぐる政策議論の中心となっている機関が設定した、2つの課題に取り組みました。

1つ目の課題は「エージェント時代における安全性・監督・ガバナンス(Safety, Supervision, and Governance in the Agentic World)」です。この課題は、スペイン人工知能監督庁(AESIA)と、スペイン・デジタル変革・公務省が主導するSpanish Open Source AI Communityによって策定されました。参加チームは、公平性、プライバシー、サイバーセキュリティ、人による監督を設計段階から組み込んだ、責任あるAIエージェントの構築方法を検討しました。

2つ目の課題は「データから行動へ:次世代エビデンスの構築(From Data to Action: Building Next Generation Evidence)」です。この課題は国連事務総長室(Executive Office of the Secretary-General)が主導し、国連システムが整備を進める「Data Commons」を活用した、意思決定に役立つデータプロダクトの開発がテーマとなりました。Data Commonsは、国連が公開する開発関連データを統合したナレッジグラフ基盤です。参加チームは、多様な実世界データを、人道支援、公共政策、開発計画、そして持続可能な開発目標(SDGs)の推進に役立つ実践的なエビデンスへと変換するツールを開発しました。

LPIネットワークから大学を招待

人材育成はLPIの中核的なミッションであり、このハッカソンはその取り組みを具体的に実践する場となりました。

LPIは、パートナーネットワークに加盟する教育機関へ参加を呼びかけ、その結果、Western Governors University(米国)とUniversidad Autónoma de Nuevo León(メキシコ)の2大学が現地参加しました。

この取り組みにより、学生や教員は国連機関、政府機関、そして業界のメンターと直接交流する機会を得ました。これは、LPIのAcademic Partnerプログラムが目指す「教育機関と実社会を結ぶ架け橋」を体現するものとなりました。

オープンソースエコシステムをつなぐLPI

今回のハッカソンは、意義あるオープンソース活動は一つの組織だけでは実現できないことを改めて示しました。

スペイン政府をはじめとする各国政府、UNICEFや国連事務総長室などの国連機関、民間企業、大学、そしてオープンソースコミュニティが、それぞれの強みを持ち寄り、共通の目的に向かって協力することで、このイベントは成功しました。

LPIは、このようなエコシステムをつなぐ存在として活動しています。世界的かつ中立的で、使命志向の組織として、エコシステムに関わるさまざまな組織の優先事項を理解し、教育機関、学生、ITプロフェッショナル、オープンソースコミュニティを共通の目標のもとに結び付けています。

その目標とは、Linuxとオープンソース技術を活用して社会課題を解決するとともに、人材育成、デジタル主権、持続可能な技術エコシステムの発展を支援することです。

6月22日に行われた最終プレゼンテーションでは、ドイツ連邦デジタル変革省政務次官のThomas Jarzombek氏、国連事務次長兼デジタル・新興技術担当特使のAmandeep Singh Gill氏、国連大学学長のTshilidzi Marwala教授、そしてUNICEF公共パートナーシップ担当グローバルディレクターのMandeep O’Brien氏が開会の挨拶を行いました。

政府、国連、学術界、市民社会のリーダーが一堂に会したこの場は、国連オープンソースウィークが目指す理念を象徴するものとなりました。

1年後に向けて

UN Open Source Week 2026は、6月26日まで開催され、オープンソースとAI、デジタル公共インフラ(Digital Public Infrastructure)、Open Source Program Office(OSPO)をテーマとした各種イベントが続きました。

LPIにとって、このハッカソンは一つの確信を改めて示す機会となりました。それは、オープンソースは世界共通の目標を実際に機能するツールへと変え、そのツールを生み出す人々には、成長するための支援や評価、そして活躍の機会が必要だということです。

LPIは今後も、国連、各国政府、教育機関、産業界、そして世界中のFLOSSコミュニティとの協力関係をさらに深めていきます。

オープンソースエコシステムのオーケストレーターとして、LPIは人材をデジタル変革、技術主権、中立性、そして持続可能なイノベーションの中心に据え、社会のさまざまなステークホルダーを結び付けていきます。

世界規模でオープンソース人材の育成に取り組みたい政府機関、教育機関、企業、FLOSSコミュニティの皆様は、ぜひLPIパートナーネットワークへの参加をご検討ください。詳細および申請方法については、「Become a Partner」ページをご覧ください。

舞台裏で支えた皆様へ

今回のハッカソンは、舞台裏で尽力してくださった多くの方々の支えなしには実現できませんでした。

特に、国連チームのOmar Mohsine氏、Mithusa Kajendran氏、Pinar Sila Varol氏、Zeina Amr Hassan氏に心より感謝申し上げます。また、LPIの同僚であるJuan Ibarra Báez氏とHernán Pachas Magallanes氏にも、卓越したリーダーシップと多大な支援に感謝いたします。

さらに、Arun Gupta氏をはじめ、本取り組みの成功に向けて献身的に活動してくださったすべてのボランティアの皆様に、深く感謝申し上げます。

Author

  • Elzbieta Godlewska

    Elzbieta Godlewska is Global Partnership Development Representative at LPI. Since 2005, Elzbieta has been dedicated to promoting Open Source. She has worked on certification programs and career support for IT professionals for many years. Previously, as a Senior Manager in the EMEA region with CompTIA, and since 2011, with the Linux Professional Institute (LPI), a global certification standard, and career support organization for open-source professionals.

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