SNSやGlobal Market Insightsの報告によると、オープンソース市場は現在300億ドル規模であり、今後10年以内に1,200億ドルに達すると予測されています。
しかし「自由に利用・再配布できる」ことが前提のソフトウェアで、どうしてこれほど巨大な市場が存在できるのでしょうか。ここでは、個々の開発者から始めて、その仕組みを整理していきます。
多くのオープンソースのメンテナは、寄付やコンサルティングによって活動を維持しています。
たとえば Vue.js や Vite の開発者であるEvan You氏は、2016年からGitHub SponsorsやPatreonといったプラットフォームを通じて開発活動の資金を集めています。ある時期には、月額15,000ドル以上 の寄付を受け取っており、その多くはY Combinatorのような企業スポンサーの支援によるものでした。
もう一つの例は cURL の作者Daniel Stenberg氏です。cURLはWebダウンロードで最も広く利用されるツールの一つですが、彼はcURLに依存する企業に対してコンサルティングを提供することで収益を得ており、プロジェクトと自らの活動を持続可能にしています。
オープンソース開発者は、さらに一歩進んで企業を立ち上げることもあります。
Evan You氏は VoidZero を設立し、シード資金として460万ドルを調達しました。現在はViteやOXCといった人気のフロントエンドツールを維持・開発しています。
KDE のエコシステムでも同様の動きが見られます。KDEやPlasmaのコントリビュータが共同で TechPaladin を設立し、そのクライアントには Valve が含まれています。ValveはSteam DeckのデスクトップモードでKDEを活用しています。
さらに、ゲームエンジン Godot のメンテナは W4 Games を立ち上げ、エンジンのコミュニティに基づくコンサルティングサービスを提供しています。
Blender Foundation は、7,000人以上の個人と35社以上の企業(NVIDIA、AMD、Meta、BMWなど)からの寄付を組み合わせ、月額20万ユーロ以上 を集めています。これによりフルタイム開発者を雇用し、安定した開発を続けています。
Blenderはまた、商業的なエコシステムも支えています。Blender Market はアーティストや開発者がアセットやプラグインを販売できるプラットフォームとして機能しています。
一部の企業は オープンコアモデル を採用しています。基盤部分はオープンソースですが、プレミアム機能は商用ライセンスで提供します。GitLab や HashiCorp(TerraformやVaultなど)はこのモデルを採用しています。
また、デュアルライセンス を選ぶ企業もあります。たとえば MySQL(Oracle買収前)はGPL版と商用版を提供していました。Qtフレームワーク も同様で、オープンソース向けにはGPL版、商用利用には有料ライセンスを提供しています。ビデオ会議ツール MiroTalk もGPLによる無償版と、有料の商用ライセンス版を併用しています。
WordPress、Ghost、Nextcloud はセルフホスト版に加えてマネージドホスティングを提供しています。多くのユーザーは、自分でインフラを管理する代わりに、これらのサービスに料金を支払うことを選びます。
Nextcloud Enterprise では、サポートや導入支援を提供しており、料金は1ユーザーあたり月額37ユーロから、ニーズに応じて最大200ユーロ近くになります。個人利用では、Hetzner が提供するNextcloudホスティングがGoogle Driveのようなプロプライエタリサービスと競合するほどの価格帯で利用可能です。
Mozilla はいまだに収益の約80%をGoogleとの検索契約から得ていますが、このモデルは持続可能性やプライバシーに関する疑問を投げかけています。
同様に、Canonical は2012年にUbuntuのUIにAmazon広告を導入しましたが、すぐにユーザーからの反発を受けて撤回しました。
現在のCanonicalは、Ubuntu Pro、HPやLenovoとのOEM提携、エンタープライズ向けコンサルティングなどで収益を上げています。
また、Red Hat はRed Hat Enterprise Linux、SUSE はSUSE Linux Enterprise Serverを中心に、それぞれ堅牢なB2Bエコシステムを構築し成功しています。
Linux Foundation は、エンタープライズ規模のオープンソースに秩序をもたらしています。Microsoft、Huawei、Samsung、Meta、Intelといったメンバー企業が参加し、年間で数億ドル規模の資金をオープンソース開発に投じています。
オープンソースはもはや周縁的な運動ではなく、現代のソフトウェア開発の中核を成す存在です。情熱的な個人プロジェクトやPatreonの支援ページから、大規模な企業やエンタープライズサービスまで、そのエコシステムは拡大を続けています。
単一のビジネスモデルで全てを説明することはできませんが、一つだけ確かなことがあります。
オープンソースはかつてないほど重要であり、同時に価値あるものになっているのです。
オープンソースを通じて開発者や組織が持続可能な収益を得る仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、Moreno Razzoli氏の動画をご覧ください:
[€15k AL MESE sviluppando Software Open Source da freelance. Com’è possibile? (€15k PER MONTH developing Open Source Software as a freelancer. How is this possible?)]
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